俊の声に引力の様にあたしもその中心へと駆け出した。
顔や身体中に包帯を巻かれてベットに寝ている二人の姿に。
あたしはゆっくりと二人の手を握れば、生暖かった。けどその手は重たくてまったく動きそうになかった。
「お父さん、お母さ……ん?ほら、あたしだよ、俊だって。それに、おじいちゃんおばあちゃん、皆沢山……いるよ。ね……え?」
直ぐ様涙が両側から溢れだした。
それは紛れもなく死を確認した瞬間だった。
なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで
涙が頬をつたり鼻水が垂れしゃくあげながらあたしは何度も繰り返した。
だって、だってついさっきお父さんとお母さんは居たんだよ。二人そろっていってらっしゃいって言ってくれたんだよ。二人してあたし達を見送ってくれたんだよ。
ほら、いつもなら今頃お父さんは仕事でお母さんはあたし達に「おかえり」って言ってくれてたでしょ。
なのになんで、今日はないの?
なんで………………。
二人は死んじゃったの?
何かが音を立てるように崩れたあたしは声をあげて泣いた。
何度も、何度も何度も泣いた。

