「宮野!」

 澤先生に呼ばれてどうやら二人の事だと気づき怒られるんじゃないかなと俊と一緒にびくびくしながら向かう。なんたって澤先生は元はあたしの担任で今は俊のクラスの担任だからだ。でも待っていた言葉はもっと凍りついた。












「二人とも、今から先生と病院に向かうから今すぐ着替えてらっしゃい」



 先生の声音がいつもと違った事に二人は直ぐに察知し急いで掛けてあったタオルを身体にまけばシャワーもせずにそれぞれの着替え室へと向かった。







 素早く着替えれば階段を降りる。そしたら俊と先生が待っていた。


「先生の車で行くから付いてらっしゃい」

 あたし達も急いで駐車場に向かい後ろを付いていけば赤い車があった。先生はいつもこの車で登校してたなと思いながらあたしと俊は後部座席に座った。





 先生は車を走らせながらバックミラーであたし達の顔を見た。



「二人に伝えるのは早すぎる。ましてや赤の他人の先生が伝える役じゃない。けどね……先生は言うわ。







二人のお父さんとお母さんが事故にあった」




「「え」」


 二人して思わず息が漏れた。


「先生、お父さんとお母さんは大丈夫なの?」


 バックミラー越しに見えた先生は唇を噛んでいた。これは先生の癖で自分の為、相手の為にどうしても伝えなくちゃいけないことなんかを迷っている時によくする癖だった。



 それには日頃から勘のいい俊も気づいてしまい、幼いながらも事の重大さに確信してしまった様だ。




「先生………早く病院に連れてって」


 消えそうな程の声で発した俊の言葉を聞き逃さなかったあたしと先生。車のスピードが徐々に上がっていった。