プールの時間は一時間弱。一通り終えた今は自由時間になっていた。



 皆好きずきに水を掛け合ったり追いかけっこをしていた。
 勿論私は親友のゆーちゃんと一緒にいたのだけど今日は珍しく弟の俊君も私達の所に付いてきていた。




「俊君何したい?」

「逆立ち!!」

「ええ嫌だよ鼻がキーンとするんだもん」




 私の問いかけに即座に答える俊君にゆーちゃんは嫌だと文句を言っている。そういえば俊君は今ドラマでやってるシンクロにハマっていたなぁと。最初ゆーちゃんは嫌がってたけど今では俊君とどちらが綺麗にできるか競いあっていた。何だかんだで姉弟なんだなって思っていたら澤先生の声がした。



「宮野!!」


 宮野とはゆーちゃん達の名字で二人が反応すれば、先生が二人に手招きをしてプールサイドに上がらせた。


 怒られるのかな?でも遊びだし大丈夫だよね、と私はプールの所で二人を眺めていたら二人は急いでタオルを取りにいって着替え室にいっちゃった。


 二人に伝えた澤先生は他の先生に何か話してるみたいだけどなんだろう。



 幼い頃の私はその姿を呆然と眺めていた。





 そのまま時間も終わって結局二人は戻ってこなくておまけに澤先生も居なかった。周りの先生やおばちゃん達も何処かそわそわしている様だったけど子供の私には教えてくれなかった。




 私は着替え終わったら部屋を出てある場所に向かった。



「おばちゃんカードちょうだい」

「あら風佳ちゃんじゃない。はい、どうぞ」


学年事にカードを持っているおばちゃんにカードをもらい今日の日付の所に判子を押してあるのを確認すればそれを鞄の中にしまう。そこでまだおばちゃんの手元に残っているカードをみた。



 男の子数人分と女の子の分があった。





「あれ、おばちゃんゆーちゃんのがあるよ」

 おばちゃんはそれに気づき、あらどうしようっと困っていたので帰る次いでに私が持っていこうかと聞いたら


「大丈夫、大丈夫よ。これはおばちゃん達の誰かがちゃんと結子ちゃんと俊輔君に渡しといてあげるから」


 中々引き下がらない私におばちゃんはほら、皆帰っちゃうわよと言われ仕方なく私は下校のグループへ向かった。








 家に着いたら私はゆーちゃん達が気になり家に電話を掛けてみたけど一回も繋がらなかった。