お兄ちゃんからメールが来たのは、つい先程の事だった。

内容はお兄ちゃんの母校である高校に向かってほしいとの事。
何でも後輩の彼らにOBとして部活に指導に行くのが今日の予定だったらしいが、急な用事が入ったために代わりに私が謝りに行くことになったのだ。

お兄ちゃんが学校に電話でもすればいいと思ったけれど、何せ山奥にある学校らしく電話が繋がりにくいらしい。

私も今日の講義は既に終わっていたし、これから特に用もないのでお兄ちゃんに従うかたちで、彼の母校へと向かっていた。

山奥とは言っても、私の住んでいる都市からそれほど離れているわけでもない。
電車を乗り継ぎ、メールをもらってから一時間も掛からない内にお兄ちゃんの母校の最寄り駅に着いた。

季節は春。
四月の上旬である。
少しまだ肌寒いなあと思いながら、駅から出てるらしい学校へのバスへ乗ろうとバス停へと向かう。

すると丁度止まっていたバスから、いつかお兄ちゃんが着ていた制服を来た男の子が出てきた。
なんという幸運。
私はそのバスに乗り込み、一番後ろの席に腰を下ろした。

お兄ちゃんも数年前まではこのバスに乗ってたのだろうか。
なんて考えたけれどすぐにその考えは違うと思いあたった。

だってお兄ちゃんは家から学校までの往復百キロを、毎日自転車で通っていたのだから。