バイト終わりの夕方、家に向かって歩いていると、楽しげな笑い声が聞こえる。
ふと目をやると、そこには彼がいた。そしてその横には、スラッとしたスタイルのいい年上の女性が腕を絡めて立っている。
ちょうど運よく(?)谷山とばっちり目が合った。

「あ‥。」
「久しぶり。」

どの道あわせる顔がないあたしは、やけ気味ににこやかに笑って言った。

「‥誰?」
谷山の隣で女性がキョトンとして聞いた。かなりの香水の匂いに、あたしは思わず顔をしかめる。
と同時にこの人が誰かに似ている気がした。この香水の匂いと同じくらい強烈な匂いをもつ、あたしの知っている誰かに‥。