「美由、付き合って1ヶ月のお祝いデート、どこ行きたい?」
「う~ん、夜景デートとかいいなぁ。」

楽しげに答える華田さんの声。
あたしはあまりのことに呆然と立ち尽くした。

すると、さらに有り得ない事が起こったのだ。

なんと華田さんがあたしに気づき、にっこり微笑んできた。

「こんにちは。」

すがすがしい笑顔に罪の意識や狼狽は微塵も感じられない。

「こ、こんにちはじゃないですよ!!どういうつもりですか!?」
あたしは我に返り、こっちが狼狽した。とんでもない現場に居合わせてしまったという後悔とも焦りとも取れない感情が頭の中で渦を巻いていた。