その時、真璃のケータイが鳴った。慌てて持ち上げて何か話したと思うと、鞄をつかんで立ち上がった。

「ごめん、まさちゃんからだ。」

まさちゃんは真璃の年下の彼氏のことで、今風邪で寝込んでいるらしい。熱が上がり、真璃にSOSを発したのだ。

「1人暮らしだからほっておけなくて‥。」

最後にごめんと付け足すと、真璃はそそくさと店を出て行った。
交際から1年経ったが、2人の熱は未だ冷める気配がない。

あたしは惨めな気持ちになって、その後すぐに店を出た。