彼が日本を去ってから2年経つ。
私は美術大学へと進み、今でも彼の背中を追っている。



今でも彼からメールがくる。
一文しかない、シンプルなメール



それでも私は幸せだった。



少し前、雑誌で彼の描いた絵が認められたことを知る。
彼は前へ進んでいた。



私よりもずっと遥か先
この目で見ることはできないけど、こうして遠くで感じられる。



ねぇ…私はまだ、君を見ているよ。
君が居ない日本で君を想っている。



私は目を通していた雑誌から顔を上げる。
こちらに向かってくる、人影



私はクスリと笑みを浮かべた。