森の人

「なかなかいい場所だろ?」

背後から聞こえた、突然の声に、澤山は驚き、振り返った。

「俺のお気に入りの場所なんだ」

そこには、短髪・ガッシリ体型の爽やかな男が。

「転校初日でいきなりここに来るなんて、君はいいセンスしてるよ」

そして、澤山に近づく。

「あっ、同じクラスの」
「ええっと…」

顔は分かるが、当然、名前は知らない。

「俺の名前は藤川。藤川拓也。よろしくな」

そう言って爽やかな笑顔で自己紹介をした。
さすがに、白い歯がキラッ!はないが…。


キーン コーン

予鈴が鳴った。
教室に戻る二人。

拓也の後ろを歩きながら、澤山は思った。

『この人とは、いい友達になれそう』

根拠のない直感ながらに…。