森の人

昼休み

澤山は独り、学食で昼を済ませ、午後の授業までの時間潰しに、校内をうろついていた。

「すっごい、お洒落な店、見付けちゃった〜」

「ねぇ、茜ってさ、…と付き合ってるんでしょ?」

「今日の占い、『運命の人が現われる』だって〜」

女子集団の、ちぐはぐな会話が飛び交う教室。


「おーい、ボールこっち」

「イッテーっ。お前、今、わざとボールぶつけたろ?」

球技で活発に賑わう校庭。


澤山の居場所は何処にもない。


廊下の窓から中庭を眺め、独り佇んでいた。

『いい匂いだな〜』

風が運ぶ、中庭からの優しい甘い匂いが、澤山を誘う。

その匂いにつられ、中庭に向かった。

『綺麗だなぁ〜』

色とりどりの花達の、華やかな色に目は安らぎ、優しい甘い匂いに心が洗われる。

澤山は、ベンチに座ると目をつむり、しばしの癒しの時間を過ごした。