森の人

「あ、あの、大丈夫なんですか?さっき、猛獣がどうとかって…」

不安そうな顔で、澤山は短髪の男に伺った。

「ははっ。調べてみたけど、ここはどうやら、大丈夫みたいだよ」

期待通り、爽やか男は、爽やかに答えた。

さすがに、白い歯がキラッ!はないが…。
そして、爽やかは続く。

「漆のようなかぶれる木や葉もないし、毒虫や毒蛇・猛獣もいやしないよ。とにかく恐いくらい平和なんだ」

「そうですか」

安堵の顔を見せる澤山。
そして、

「ここは一体どこなんですか?
 みんないつからここにいるんですか?
 僕はどうしてここにいるんですか?
 元の所に還れるんですか?
 それに、僕を待ってたって、どういうことですか?」

安堵感からか、今まで抱えていた疑問が、堰を切ったように溢れ出した。