「二人とも落ち着いて下さいよ〜」

優しく甘い口調で、中性的な顔の男が仲裁に入る。

しかし、

「大体、あんたが言ったんじゃない。虫に刺されたり、葉にかぶれるから食料調達は嫌だ!て」

三人の手には、コンビニの袋。

それぞれ中身は違っていて、短髪男の袋には、キノコや山菜類。
ギャル風の女の袋には、枯れ葉や枯れ枝。
中性的な男の袋には、水が入ったペットボトルが三本、入っていた。

「まぁまぁ、茜。もういいじゃないか。サヤカだって、こんな所で一人、心細かったんだよ。それに新入り君の看病もしてくれてたんだし」

短髪の男の言葉に合わせ、皆の視線は澤山へと注目する。

「ど、どうも…」

一同の視線を集め、恐縮する澤山。

「まぁ、どうでもいいけど。」
「で?あんた、なんて名前?」

茜は、興奮がまだ冷めないのか、それとも普段からそんな口調なのか、ためらいのないタメ口で、澤山に質問した。

「さ、澤山です」

勢いに押され、小動物のように縮こまって答える澤山。

「ふぅ〜ん」

口をとがらせ、澤山の全身を舐めるように見る茜。
その視線を、頭からつま先まで一往復させると、プイッと横を向いた。