森の人

「今日、この浜辺で花火大会あるんだって」

海から上がり、パラソルの下で横になっている澤山と拓也。
海の家からジュースを買ってきた茜が、その二人に言った。

「さっき、海の家のおばさんが教えてくれたの」

「見ようよ」

期待通りの返事をする澤山。
隣で拓也も頷いていた。


夕暮れ

海水浴場から、花火会場へと変貌を遂げた浜辺。

海ではしゃいでいた海水浴客も、水着から浴衣へと衣替えをし、見物客へと変身していた。

仲良し三人組も然り。

砂浜に座り、海を眺めていた。


「一日って、本当に早いね」

「一年もきっと、アッという間なんだろうな」

「来年の今頃は、受験勉強中ね」

「卒業しても、僕達、仲良し三人組でいようね」


いつしか日は沈み、空には一番星が浮かんでいる。

気を利かせた、街灯と海の家の灯りが消え、浜辺は暗く染まっていく。

波の音が雑音をさらう…。


一瞬の暗闇と静寂の後、鮮やかな光りと爆音が、浜辺を包んだ。