森の人

「凄いたくさんの人」

青い海。
白い雲。
賑わう人。

仲良し三人組は、かろうじて空いていた場所にパラソルを立て、荷物を置いた。

「ねぇ、見て」

新しい水着を着てポーズを決める茜。

「泳ぎに行こう」

それを見ようとせず、海に向かう拓也。

「似合ってるよ」

いつもは心をこめて言う澤山も、海へ走りながら、素っ気なく言った。

「もうっ」

ふくれっ面になるが、

「ちょっと、待ってよ〜」

すぐ様、後を追いかけた。


かろうじて足がつく所で、ビーチボールで遊ぶ三人。

「ごめ〜ん」

あらぬ方向にボールを飛ばす茜。

浮き輪で必死にボールを取りに行く澤山。

「うわっ…。ぷっ…」

その澤山を沈める拓也。

それを見て笑う茜。

「キャッ」

その茜に水をかける澤山。

「やったわねー」

澤山に水をかけ返す茜…


はね上がるその水しぶきには、喜びに満ちた三人の笑顔が反射し、眩しく輝いていた。