森の人

「ふぅ〜。やっと着いたね〜」

ホームに降りて深呼吸をする茜。

四方を山に囲まれた、いわゆる、田舎の駅。

その空気は澄んでいて、清々しい。

「…」

疲れ気味の拓也。

「えーっと…、○○系は新型の車両で…」

鉄道講座の内容を、呪文のように繰り返し唱えている。

「あんなに張り切っていたのに。情けないわね!」

「ご、ごめん、僕が…」

「茂君が謝ることないよ」
「さぁ、気を取り直して、次はバスよ」

茜を先頭に、バス停に停車しているバスに乗り込んだ。