森の人

「ねぇ、ここは?」

茜が見つけたのは、大きく取り上げられている記事ではなく、隅の小さい記事。


『ふれあい牧場

 ロバやウサギ・ヤギと
 ふれあえます!

 〜乗馬
  ヤギの乳絞り
  も体験出来るよ!〜』


茜の両脇から、その記事を見る二人。

「面白そう。ここにしようよ」
「ヤギの乳絞りしてみたい」

子供のようにはしゃぐ澤山。

「拓也は?」

「いいんじゃない?」

素っ気ない返事の拓也。
しかし、その目は『乗馬』に釘づけのまま、嬉しそうに輝いていた。

「場所は決まりね」

拓也のその表情から、気持ちを汲み取った茜。

「いつがいい?」

「僕はいつでもいいよ」

「俺も」

「じゃあ、明後日、10時に駅前に集合ね」

「うん、分かった」

「よぉーし!お弁当、たくさん作るぞぉー」

袖を捲くし上げ、張り切る茜。

仲間との楽しい休日の予感に、澤山は胸を躍らせていた。