森の人

放課後

カバンを持ち、教室中を見回す澤山。
拓也と一緒に帰ろうと、探していたが、拓也の姿はもうない。

『きっと、部活に行ったんだろう』

そう勝手に納得し、独り寂しげに下駄箱へ向かった。


校舎からは、吹奏楽部や合唱部の、青春のメロディー。

体育館からは、バスケ部やバレー部の、ボールが跳ねる音。

グラウンドからは、サッカー部や陸上部の、大地を蹴って走る音。


放課後のかけがえのない時間が、いきいきと流れている。

好きな事に打ち込む生徒達の、姿は、汗は、屈託のない輝きを魅せていた。


そんな学舎を後に、澤山は、散りゆく桜に見送られ、校門を出た。