いつもと同じ場所で電車が揺れる
揺れた弾みに
定期を握っていた手を離してしまった
「あっ」
落ちた定期を拾う手に
ー手が触れた
驚いて手を引くとハヤトくんは優しく笑った
「はい」
「…ありがとう」
うつむいて受け取った
「離さないでよー?」
隼人はそう言いながら
定期を握る夏菜の手を握った
「ねえ、手… 繋いでいい?」
夏菜の顔を覗き込む
もう握ってるよ。そういうこともできないほど
緊張して、何も言えなくて
ただ一生懸命に首を縦に振った
「ふふ」
うれしそうにわらうハヤトくんがかわいくて
また、見れなくなって
ハヤトくんとは逆を向く
すると
窓にうつるハヤトくんも逆を向いていて
照れている姿にまたかわいさを感じて
思わず笑みがこぼれた

