ユージンは嬉しそうに走って行く。

 その背中を見送っていた朔也がピエールを振り返った。



「僕は子供は嫌いだが、ああいう正直な所は気に入っている。

おまけに、賢い子ならもっといい」

「確かに、子供は素直だな」



 瑠哀は尋ねてもほとんど話さない。

 何か事情があるのは判っていたが、ユージンの話を聞いて、やっと、うまく合わさっていなかったパズルのピースが噛み合わさってきた気がする。



「狙われていたのは、ルイじゃなかったんだ。

あの親子が狙われていて、ルイは巻き添えを食らったようだな」

「どうやら、そのようだね。

ルイは何も話さないからね。

推測の仕様がない。

今も、何を話しているのやら」

「そうだな………」


 さっきの瑠哀の様子から言っても、ユージンと自分達に聞かれたくない話なのは明らかだった。