瑠哀 ~フランスにて~

 朔也には納得が行かなかった。

 昨日まで、ずっと自分の腕の中に抱き締めていたのに。

 やっと、この腕の中に抱き締めることができたのに。



「期限切れ、だ」

「期限切れ?」

「忘れたのか?


ルイは、ここに観光で来ていた。

僕達は、ただの観光客を拾っただけだ」


「観光客?―――観光!?」




 それを繰り返した朔也もまた愕然として、今、思い出されたその事実に言葉を失くしていた。



「…観光、客?

―――観光で、一ヶ月…?

―――一ヶ月…」



 愕然としている朔也の口から、絶望とも聞こえる喘ぎが洩らされていた。

 なぜ、そんな大事なことを忘れてしまっていたのだろうか。

 そうだ、出会ったその時に、瑠哀はそう言ったのだ。

 遊びに来ているから色々と廻ってみたい、と。


 だから、ピエールと朔也と共に三人で、ニースにやって来たのだ。



「…観光客?

―――ルイ・ミサキ……」



 激しい動揺を見せて、床を睨み付けている朔也が洩らした一言に、

ピエールが無表情に朔也を見やる。