瑠哀 ~フランスにて~

 周りの景色が明るい。


 もう、朝が来たのかもしれなかった。


 余計な鎮静剤のおかげで無理矢理眠らされた形になった朔也は、ゆっくりと瞳を開けて行く。


 二~三、瞬きをして周囲の明るさと眠っていた暗さの調節を済ますと、

その視界の端に見慣れた金色の髪の毛が映った。



「…ピエール」



 瑠哀がいるのに朔也の元にピエールが付き添っているなんて、

そんなに朔也は長く眠りこけてしまったのだろうか。



「ピエール?」


 その時はまだ、返事のないピエールを特別不思議には思いもしなかった朔也だ。

 それで、ゆっくりと体を起こしながら半身だけ起き上がると、

そのひらけた視界には朔也が望んでいる、

そして、すぐそこに必ずいてくれるであろうその姿が目に入らない。



「ピエール、ルイは?

疲れているから、まだ休んでいるのか?」



 部屋のどこを見ても、自分の名を呼んで微笑みを浮べる瑠哀の優しい姿がなかった。



 これにも返事がないので、朔也はその視線をピエールに向けて、返答を促した。