瑠哀 ~フランスにて~

『うん。―――でも、これで全て終わったよ。

もう、君を脅かす者はいない。

全て、終わったんだ』

『そ、う…。終わったのね』

『うん。終わったよ』



 静かに繰り返されるその言葉を聞きながら、瑠哀も知らず胸を撫で下ろしている気分だった。

 知らず、安堵の息が微かに開いた口から漏れていた。


『さあ、君には手当てが必要だよ。

起きられる、ルイ?』


『ええ』


 優しい微笑みを浮べながら朔也が頷いて、横の男性に合図をする。


 それで、それぞれに立ち上がり出し、瑠哀も朔也に起こされて、

ゆっくりと立ち上がって行く。

 立ち上がった先で、瑠哀達を囲んでそこに控えていた水兵達が視界に入って来た。



 随分、グルリと囲んで立っているものだが、まだ若い水平が多くいるようだった。

 真白の制服に、真白の帽子。夏の日差しを受けて、きらきらと反射している。



 ゾロゾロと集まった団体は、瑠哀達を囲んで、

ただジッと瑠哀達のやり取りを見やっていたようだった。