瑠哀 ~フランスにて~

 まだ寝そべっている状態であるが、朔也の首から腕を外して、

瑠哀は大真面目にその男性に向かって礼を言う。



 男性は少し微笑みを見せて、

朔也にゆっくりと引っ張られて起き上がって行く瑠哀を見ている。



「縄を解く必要がありますね。―――誰か、ナイフを」


 男性が後ろに向いてそれを言う。

 それと同時に、後ろで立っていた若い

―――マリーン兵がサッと小さなナイフのようなものを差し出した。

 着ているその真白のマリーン服が、

海に反射して照り輝いている太陽の日差しを受けて、目に眩しいほどだ。



「ちょっと、失礼します」



 そう言いながら、男性が瑠哀の腕を取り、

その手首に巻きつけられた縄の端を切り落とし、

パラパラ、と一気に縄が解けていくと同時に腕の解放感も戻って来た。



「ルイ、大丈夫?」

「大丈夫よ、サクヤ」



 そうか、と安堵の溜め息と笑みを落とし、朔也はそっと瑠哀の手首を撫でていた。


「さあ、手当てが必要だ。ルイ、起きられる?」

「大丈夫。ちゃんと起きれるわ」

「そうか。良かった」