安堵と共に吐き出されたその言葉が、どれほど朔也が瑠哀を心配していたか、
全てを物語っていた。
苦しくて、骨がきしみそうなほど強く抱き締められているのに、
その腕の力が決して緩まず、それで、
今ここに生きている自分の居場所を瑠哀は感じることができたのだ。
「――あぁ……あの、カズキ様………」
憚りげで、しっかりと抱きついている瑠哀の頭元に、ピエールではない、
知らない男の声が割って入る。
それで、瑠哀はつい、ふと、腕の力を緩めて横を向いていた。
「お気付きになって、良かったですね。
ここは――落ち着きませんから、まず船内にお入りになられては?
怪我の手当ても必要でしょうから」
それを瑠哀に――瑠哀と朔也の二人に説明しているような様子の男は、
どう見ても船の船長らしき、きちんとした制服を着ている。
片膝を付いて瑠哀の横に控えているのだが、瑠哀はよく事情が呑み込めず、
目をパチパチと瞬いていた。
「――ああ、そうだね。まず、彼女の手当てをしなくちゃ」
朔也がその男性を見ながら、自分の今の状況を思い出したらしく、
一度、瑠哀に視線を戻して、そしてとても優しい微笑みを浮かべた。
「ルイ。この船の人達が俺達を助けてくれたんだ。
海の真ん中から拾い上げてくれてね」
「そう――なの?
――――それは、ありがとう、ございます」
全てを物語っていた。
苦しくて、骨がきしみそうなほど強く抱き締められているのに、
その腕の力が決して緩まず、それで、
今ここに生きている自分の居場所を瑠哀は感じることができたのだ。
「――あぁ……あの、カズキ様………」
憚りげで、しっかりと抱きついている瑠哀の頭元に、ピエールではない、
知らない男の声が割って入る。
それで、瑠哀はつい、ふと、腕の力を緩めて横を向いていた。
「お気付きになって、良かったですね。
ここは――落ち着きませんから、まず船内にお入りになられては?
怪我の手当ても必要でしょうから」
それを瑠哀に――瑠哀と朔也の二人に説明しているような様子の男は、
どう見ても船の船長らしき、きちんとした制服を着ている。
片膝を付いて瑠哀の横に控えているのだが、瑠哀はよく事情が呑み込めず、
目をパチパチと瞬いていた。
「――ああ、そうだね。まず、彼女の手当てをしなくちゃ」
朔也がその男性を見ながら、自分の今の状況を思い出したらしく、
一度、瑠哀に視線を戻して、そしてとても優しい微笑みを浮かべた。
「ルイ。この船の人達が俺達を助けてくれたんだ。
海の真ん中から拾い上げてくれてね」
「そう――なの?
――――それは、ありがとう、ございます」

