ふん、といかにも邪魔くさそうにリチャードがそれを吐き捨てて、

自失している女など目にもくれずに車を発進させた。

 走り去って行くサイドミラーから後方の女の姿が小さくなっていくのを瑠哀は目にしていた。

 その姿が消え去って行くまで、女はあの場にへたりこんで立ち上がることもなかった。



 馬鹿な女だ。

 こんなリチャードのような小ずるいだけの男に騙されて、何を夢見ていたのか。