刑事は、瑠哀のその鋭敏な推察力に、思わず賛嘆の唸り声を洩らした。


「……判りました。

今すぐ、屋敷内の人間を一から調べ直します。

―――お嬢さん、あなたは警察関係の人間じゃないですよね?」


 思わず言われたその言葉に、瑠哀は瞬いてみせた。


 それで、刑事はハッとして、


「――いえ、何でもないですよ。

―――貴重な情報を感謝します。

リチャードは必ず連行します。

それと並行に、この屋敷でのケインの関係者を洗い出してみせます」


 そう言って、刑事は朔也達に一礼して、ダッと部屋から足早に出て行った。


「警察関係……?」


 瑠哀が朔也を見上げる。


 朔也は少し苦笑いして、


「なぜ、今の時間にガードが手薄になると知っていたんだ?」

「この屋敷に来てから、ずっとガードの動きを見ていてたの。

交代時間も聞いたわ。私がここにいる限り、

必ず、ケインは屋敷に忍び込んでくるから、

マーグリス氏に、私の部屋のガードを減らして彼らにつけるように話したわ。

これで、なにがなんでも、ケインは私を狙うしかない。

絶対に、ユージンには手出しをさせないわ。

なんの拍子で、あの狂ったケインが逆上するか判ったものじゃない。

絶対、彼らに手出しはさせないわ」