瑠哀はそこまでを言って、ハッとした。

 思わず手を口に当て、目線だけをピエールに上げる。



 その目の先で、ピエールは冷たく光る瞳を真っ直ぐに瑠哀に向け、腕を組んでいた。


「―――それ、どこで聞いたの?」

「今朝、君に大きなバラの花束が送られてきた。

その中に入っていたカードに書かれていたんだよ」


 ピエールは無言で、これはどういうことだ、と聞いている。


「ヴォガーね。まったく……。

昨日、話したでしょう?

ちょっと、余計なことを話してくれた、とね」


 瑠哀は、まいった、というふうに小さく溜め息をついた。


「なるほど、それが熱い瞳、か。どうやってやったのか、見せてもらいたいね」

「ピエールじゃ無理よ。

絶対に、通用しないわ。

ちょっとコツがある、と言ったでしょう?」

「じゃあ、サーヤで試してみる?」


「たぶん、サクヤでも無理だと、思う……。

これって、普段、私を見てない男で、

私を女として扱いたがっている奴にしか通用しないの。

ちょっとした不意を突くと言うか、え?っと思った時にしかできないのよ」