朔也は瑠哀がユージンから銃を取ったのを診て、マーグリスに駆け寄った。

 マーグリスの手を少しよけて、その傷を診る。



 玉が肉に挟まれているが、骨には届いていないようだった。



 後ろを振り返って、ピエールが来ているのを確認する。

 目線で、セシルを看るように言い、ピエールがセシルのもとに来たのを見て、もう一度立ちあがった。



 書斎から出て、この騒ぎに駆けて来た執事を捕まえる。


「医者を呼んでくれ。マーグリス氏の足に玉が詰まっている。

手術のできる医者を今すぐ呼んでくれ」



 執事は驚いて後ろの電話に走っていた。

 早口で、医者に電話をしている。



 朔也はそこに集まって来た屋敷の使用人たちに告げる。


「マーグリス氏は大丈夫だ。

向こうに行っててくれないか?

君達がここにいると、ユージンが興奮してしまう。

部屋に戻ってくれ。

―――それと、看護のできる人間がいたら、教えてくれないか?」


 そこにいた二~三人のメイドが、おずおずと手を上げた。

 朔也はそのメイドを中に呼び寄せ、ドアをパタンと閉める。