だから君が



「母さんやろ」

ぶーぶー文句を言う右京に

邪魔をされてなかなか言い出せない

「それでも寒くないか?って言うとこでしょ」

「もうそんなんしらへんよ、つっかか…」


「あのっ!」

自分でも驚くほど大きな声が出た

「す、みません。大きな声だして

あの、このタイミングで申し訳ないんですけど

私、右京サンとお付き合いさせていただいてます

花村日向子と申します。えっと、それであの」


ープッ


吹き出してクスクス笑うのはお母さんで

「何かと思った。

そんな娘もらいにきた男の子じゃないんだから

力抜いて。ゆっくりしていいのよ

私、こんな不出来な右京の母です」

そういいながらクスクス笑うお母さん

「よろしくお願いします」

慌てて頭を下げる

それから、そろそろっと出すのは

家の近くで評判のモンブランロールケーキ

「あの、あとこれ。こんなお忙しい日に

お邪魔してしまってすみません」