あれは、一度模試の成績が相当落ちて
落ち込んでいた日だった
休み時間の体育館から聞こえるスキール音
ーｷｭｯ ｷｭｷｭｷｭｯｷｭｯ
狭い感覚で聞こえる音が
落ち込んでいた日向子の耳を刺激した
ーｶﾞｯｶﾞｯ …ﾀﾞﾝﾀﾞﾝﾀﾞﾝ
「あー、またはいんねー」
少し苛立ったような声
その声にすら少し気持ちの高揚を感じた
落ち込んでいたことが嘘のように
何も考えずに体育館を覗く
「…!!!」
音の持ち主が一人体育館のなかで
驚いた顔をする
「びっくりしたわー、
驚かさへんとってくださいよー」
京なまりというのか、柔らかい口調
「ごめんなさい」
「理特の花村ｻﾝではりますよね?」
京なまりになれていないからか
その言葉にもｿﾞｸﾘとする
