日向子は彼の音に惚れた

キュッキュ、心地よいリズムを刻む

跳ねるような足音に筋肉の質の良さを知る

彼の音が日向子の聴覚を引き付けた

ダンダダンダン、キュッ ガゴン

ドリブルをついて

シュートの決まる音がした

「あっ、おはよーさん。

またきてはりますの?」

「そう、またきたんです」

顔見知りだった

バスケ部の彼、特進クラスで勉強漬けの私

関わりなんて本当は持たないはずの二人だった

「いかがやったやろか、俺の今日の音?」

歯を見せてにっと笑う