君が好き




街をただ散歩するだけですぎる時間。
徐々にあたりが暗くなりだしてきた。


幸せな時間は
すぐに過ぎてしまうから。


最後に、
この思いを、

思い出にするために。


「加藤、
あれ乗らない?」


気持ちを伝えることが出来れば。
そう思って指さした観覧車。

加藤は微笑んで頷いた。



彼女の壁の中に入りたい、とずっと思っていた。

たまに見せる
切ない笑顔を取り払ってしまいたいと。

辛いときは辛い顔をしてほしい。

そうずっと思っていた。

出会ってまだたったの4か月。

だけど、
芽生えた思いは確かに強いもので。

消えそうにない思いで。

だからこそ、伝えたい。

困らせるだろう。
君を。

笑顔を消してしまうかもしれない。
これからは、
友達として一緒に居て欲しいって言おう。

そしたら君は、笑ってくれるだろうか。



「あ、平気?」


二人きり。
揺れる小さな箱の中。



「はい
久しぶりだな、観覧車」


前を見れば
笑顔の君が居て。


状況的には
どうも告白に最適で。

しかも、結構こちら側有利な気がするのに。


なんでだろう。
なんで、
断られる未来しか考えられないんだろう。