ポツリと呟いた加藤の横顔が
あまりにも綺麗で息が止まる。
「ねぇ、会長!あれって…」
満面の笑みがこちらを向いて
ばっちりと合ってしまった目。
思ったよりも近かった顔に
お互い俯いてしまう。
「…あ、うん、何?」
「…あ、えっと、あの…
あれって、有名なやつですよね?ビル?」
「あぁ、そうそう。
加藤、来たことないの?」
「…ちっちゃい頃は来ましたけど」
ちょっと怒ったように
照れたように言ってもなお輝く目。
「そしたら、次おりようか」
「あ、うん!行きたい!」
「ハハハ、田舎者かよ」
ずっと加藤は、
しっかりしていると。
冷静で、大人なんだと思っていた。
だけど、違うんだ、たぶん。
本当は、負けず嫌い。
意地っ張りで、甘え下手。
そんな彼女を包み込める誰かが
もう居るんだろうか。
彼女のこの笑顔を守れる誰かが。
「スゴイ!おっきいよ!」
「恥ずかしいから騒ぐなよ」
「わー!会長!ほら!すごい!」


