君が好き





「なんすか」

ブスッと怒ったような顔。
だけど、

「ちょ、何笑ってるんですか」

「いや、可愛いなって」

今日で最後。
多分、最初で最後。


だったら思いっきり
自分の好きなようにしてしまおう。


身勝手な思いは、
多分加藤を困らせてる。

それでも伝えたいほどに
気持ちは増幅してたんだ。


「ん?」

笑ってやれば
加藤は顔を真っ赤にさせている。

それでも眉に寄った皺。


「ははは」


可愛い。
愛しくて、愛しくてたまらない。





笑ってキラキラ輝くその髪に触れれば
彼女はピクリと反応を示す。




「加藤、なんか言いかけただろ、さっき」


この角で待っていた理由を問えば
少し和らいだ眉間の皺。



加藤は知らないだろう。
こうやって眉間に皺を寄せていたのだって、俺は少し嬉しいんだ。

他には見せない表情だから。

俺だけが独占できる顔だから。






「あ、あぁ!
そうです。

あの!クラスに来るのとか、やめてください。
会長、目立つんだから…」


「うん。わかった。」


素直に頷いたのが意外だったのか
加藤の目が少し揺れる。





なんとなく距離ができていた

あの屋上以来。




だけど、
今強く思う。




やっぱり好きだよ、君のこと。