そんな言葉を残して
後ろを向いた加藤だったけど。
その横顔
少しはにかんでいたように見えたのは、
ただの、俺の想像、だろうか。
「会長、早く行きましょ」
帰ってきた加藤は
やっぱり困ったような
どこか少し怒ったような顔をしていたけど
最近の表情のない加藤よりもずっとこっちの方が良いよ。
やけに早足で歩く加藤をうしろから追いかけるように歩く。
角を曲がるとき、
ほんの少しこっちを確認する。
そんなところが可愛くて
だからわざと隣にはいかなかった。
なんてこと言ったら
加藤はきっと怒るんだろう。
今日、聞こう。
“早く会えてればよかったのに
て、なんで言ったの?”
って。
“最近笑ってくれなかったのはなんで”
って。
“好きなんだけど、付き合ってくれませんか?”
って。
「あの」
学校から10分ほど歩いたところ。
角を曲がってすぐのところで加藤は待っていた。


