…ずるい?
横を見れば
加藤はもう起き上がって手で目をこすっている。
「加藤、目腫れるぞ」
ズルいって、いったい何のことかはわかんないけど。
そんなん言われても
可愛くて、愛しくて仕方がない。
「こするなって…」
自分も起き上がり
近寄って
細い腕を掴んでみる。
潤んだ瞳。
どこか意志の強い目がこちらを見ている。
…どうしよう。
「ズルいよ、会長」
ボロボロと涙をこぼしたまま睨まれているのだが。
全然、怖くない。
むしろ、めちゃくちゃ可愛い。
「何で笑ってんの…」
「いや、ちょっと…」
なんで泣いてんだよ、ほんと
そんで。
なんで、俺に見せてくれたんだよ。
泣き顔を。
「もっと」