「会長って」
「ん?」
こちらの問いかけに
加藤がこちらを向いた。
その顔が
夕日に照らされてキラキラ光る。
凄く、綺麗だ。
「本当に優しいんですね」
「え?」
こちらを見たまま
これまでに一度も見たことの無い顔をした。
「…加藤?」
今にも泣き出しそうで。
それを無理して隠そうとなんてしていなくて。
「どうした?」
今までは加藤に聞くことを憚っていたそんな言葉が
あっさりと零れ落ちた。
「だって、」
ポロポロと大きな瞳からこぼれる涙が
どうやったら止まるかわからなくて。
だけど、
出来ることなら笑ってほしくて
「だって、ずるい…」