君が好き




頷く山田に笑顔を返す。
よし、よく言ったぞ山田。

これで、
これで…




「遅れました!」

「あ、加藤」


…加藤も祭に誘えるから。



「今日さ、放課後みんなであの祭行くんだけど、なんか予定ある?」


ずるいと思う、自分でも。
周りから固めて、
彼女が断れないような環境にして。


でも、そんなずるいことをしてでも、
俺は


「あ、っと、特に用事は…」
「じゃ、決まりな」


俺は、君と居たいんだ。




例えば、
俺がこのとき見つめていた加藤の笑顔が、かすかに揺れていたこととか
例えば、
このとき俺を見つめていた千田の目に溜まった涙とか。


何か一つでも気づけていたなら
ただ、それだけで良かったのに。




俺はいつも

大事な部分ばかりを見失う。