急いで切ったものの、 向こうに通知が行ってしまってるかも知れない。 …どうしよう。 「…はぁ」 深いため息とともに立ち上がり 家に向かう。 隆史をあんなに傷つけたくせに 今はこんなに会長を思う。 あぁ、最低だ、やっぱり。 ポツリポツリと歩き、家の前、立ち止る。 …電話。 「えーい」 どうせ電話しちゃってんだ。 一回も二回も変わらないでしょ。 隆史がなんだ。 私は今、会長に会いたいんだ。 声が聞きたいんだ。 決めた。 チャンスは3コール。 それまでに出なかったら潔く諦める。 …よし。