「そろそろ電車来るので…」

自分で言い出しときながらなんだか照れてしまって俯いて彼女の隣に並んだ。



これって。
もしかしたらナンパになるんだろうか。

知らない女の人に話しかけて、
あわよくば名前を聞きたい…なんて。


でも。
名前ぐらいなら…。

連絡先聞くのはさすがに憚れるけど…。


「あの、」

「え?」


電車が到着するとのアナウンスが流れる中、
彼女が大きな目をこちらに向けた。


「和咲高校なんですか?」

「あ、そうです、ね。
なんで…、あ、そっか、制服か…」


クスクス笑われて、
なんだか彼女には余裕を感じて。

なぜだか切なくなったと同時にホームに電車が滑り込んできた。