「あれ、久しぶりってことは?!」

すると巴君は苦笑しながらも小さく頷いて俺は御神巴衛。覚えてるよね?と可愛らしく聞いてきた。

さっきの不機嫌な表情とは真逆な顔もやっぱり綺麗でーー。

私は心の中で変わってないな。と呟いた。

「ねえ、女子が限り無く五月蝿いんだけど。」

とすんごい不機嫌な顔で言う美里。
直ぐ隣に女子達がいるのに。

その対応にくすくすと笑みを零す。
そんな美里を見て萌は「じゃあ屋上に行こっか」と提案した

私は「そうだね。」と笑顔で頷く。勿論、隣では美里がなら早く行こうよ。と皆を急かしている。

屋上には基本的人は来ないから、萌はそこを選んだんじゃないかと私は思う。
ああ見えて、萌は私達三人のグループの中では一番に頭がいいのだ。

屋上につくと、真っ先に萌が屋上に設置されているベンチにどかっと座り込んだ。
投げ出された長い足はすらりととても長くて、羨ましい。

そんな萌を見て美里が、がっと萌の脚を閉じさせる。
うわ、痛そうとそんな萌を尻目に私は巴衛くんに「私達のこと覚えててくれてたんだ。」と笑いながら喋りかけた。

「勿論。いっつも4人で一緒にいたよね。」

と無論こちらも笑顔で返す巴衛くん。
この笑顔ずっと変わらないんだなあと1人で思っていると、萌が「それにしても凄い人気っぷりだねえ」と巴衛くんに笑いかけた。

「確かに。まあ小さい頃も保育園の先生にモテモテだったけどね」と美里が相槌を打つ。

そういえば一緒の保育園だった。
小学校にあがるまえに巴衛くんが引っ越しちゃったけど。

そうこうして皆で駄弁ってると、一限目のチャイムが鳴っているのが聞こえた。

「え、ちょっヤバくない!?」

わたわたと慌てる萌とまあ大丈夫でしょ、と欠伸をする美里は対照的で流石だなあ、と呑気なことを考えていると、「あ、巴衛くんは初授業なんじゃない?」と美里が巴衛くんがいるはずの方を振り返った。

ーーーーーーーーーーーえ?

巴衛くんが、いない?

「は、?」

私が小さく声を漏らす。
そりゃあ急にいなくなっちゃうんだもん。
誰だって吃驚するでしょ。

ふ、と視線を下に下ろすと一枚の紙が屋上の扉に貼ってあった。

「授業があるから、先に戻る。」

とっても綺麗な字でそれは書かれていた。
なんだ、と小さくため息混じりにそう言うと、2人にその紙を見せた。