ーーーーえ?

そんなわけ無い。
だって私ーーーーー、

「もう、何言ってんの?あそこに居るのが巴衛くんって決まった訳じゃないし、第一巴衛くんは弟みたいなものでーーー、」

途中まで言ったところで、ぐっと押し黙る。
、、、、親友の後ろ側に居て女子にまみれている転校生くんと目があったのだ。

綺麗で幻想的とも言える転校生くんの藤色の瞳に捕まえられて、言葉がでない。

「、、?南ってばどしたの?」

萌が心配そうに私の顔を覗き込む。
何があるの?とでも言うように私の目線の先にあるものを探そうとする。

唯一の救いが転校生くんはもうこっちを見ていなかったということ。

「あ、ごめんごめん、ちょっとボーっとしてたかも」

あはは、と笑う私を見て萌と美里は顔を見合わせて首を傾げている。

さあ、もう戻ろう。

「よし、2人とも転校生くん見たんだから戻ろっか」

私がそう言うと2人はまだ喋ってないからやだ。と意地を張って戻ろうとしない。

私は1つ、盛大な溜め息を吐くと転校生くんの方に歩み寄る。
萌と美里もしっかりと私の後ろをついてきている。

先輩が来たからか2年生の女子は道をあけてくれる。それには転校生くんは気付いたのか少しだけ口角を上げて笑った。ーーー気がする。

だってもうさっきの不機嫌そうな顔に戻っていたから。

そうして転校生くんはさっきよりもじっと私の目を見て、小さく「久しぶりだな」と笑う。

そんな顔に興奮したのか女子がキャアァァァァっと黄色い声をあげた。