私はふふふ、と笑うとそんな訳ないか、と考え直した。

引っ越し先を聞いたわけではないんだけど、遠くに行ってしまったことなら分かってる。

だって、巴衛くん凄く泣いてた。
近くに越すならそんなに泣かなくてもいいでしょ?


そんな事を考えると胸の中にあった淡い期待もチリチリと、焦げていってしまうようだった、


「ねえ、南その2年の子気になんの?」

、、、いつのまにHR終わったのよ。
でも、2年の子は気になるなあ、

「うん、ちょっとだけだけどね」

軽く頷けば、「あんたらも気になるんじゃないのー?」と笑いながら肘で相手をつつく。

「まあねえ、、だって巴衛くんかもじゃん?小さい頃あんなに可愛かった子がどんなんになったのか気になるーっ」

と、萌が高い声ではしゃぐ。
それを制して美里もうんうんと隣で頷いている。

そうだなあ、、じゃあちょっと行ってみようかな?

「よーし、じゃあ行こっか」

椅子を引いて立つと3人で教室を出た。
2年のフロアは3年のフロアの直ぐしたにあるからとっても近い。

「ぐわあああああっ、何この歓声は!!」

萌が悶えるのもよく分かる、、っ
何この女子の甲高い叫び声?!

「あ、あれ見てみなよ。」

美里が指差す方を見れば一段と女子が群がって五月蝿い所があった。

背伸びをして見ると、その女子の大群の真ん中に見覚えのある美形さんが明らかに不機嫌な顔で対応していた。

女子はそれにさえ萌えるようで、一層熱さを増している。

「、、、あの人夢で見たんだけど」

私がそう呟くと、萌と美里が顔を見合わせて笑っていた。

その姿を見てはてなマークがいっぱいの私に向かって美里が言った

「それってさ、巴衛くんの事が好きすぎて正夢見ちゃったんじゃない?」