「え、誰だっけ?」
と首を捻れば美里はふふん、と笑った
「ねえ南。巴衛って覚えてる?」
巴衛、、、、?
確かそんな名前の人いたような?
でもその巴衛って、、
「巴衛って、あの巴衛くん?」
巴衛くんは私より1つ年下の可愛い男の子。
南ちゃん、南ちゃんっていっつも私の後ろを着いてきてたな、
昔の事を思い出しながら私は1人でふふ、と笑った
「なあに、南。もしかして忘れてたの?」
あんなに大好きだったのに、と萌がにやつきながら私の腕を肘でつついてくる。
「、、忘れてるわけないじゃん。」
と言えばあはは、と笑って見せる。
でも正直忘れてた。
だってもう9年も前の話だもの。
そう、巴衛くんは私が6歳の時に引っ越してしまったのだ、あの時は凄い悲しかったな。
「あ、もう学校じゃん、教室まで競争しようよ!!」
大きな声でそう言えば萌は物凄い速さで走り出した。
萌って足あんなに細いのになんで走るのはあんなに速いんだろうと考えながら下駄箱から自分の上靴を出して履いた。
上靴を出したときに一枚の手紙の様なものがひら、と落ちてきたが見てない振りをした。
、、、あ。
そういえば萌が競争とかなんとか言ってたような。
「おはよーっ」
「南おはよう、今日も寝坊?」
はあ、めんどくさいなあ。
「おはよう。あはは、ちょっとね?」
と、私は顔に嘘の笑顔を貼り付ける。
知り合いからの挨拶を適当に受け流しながら教室にたどり着く。
「皆おはよう、」
と笑いながら教室に入ると、萌が怒った顔でこっちに来た。
「もう!南ってば、教室まで競争するって言ったじゃーん。」
「こらこら、萌。南は忙しかったんでしょ。競争はまた今度にしたら?」
と、小さい子をあやすように萌を宥める美里。2人のやり取りはいつも面白くて見てて飽きない。
ガラ、と後ろのドアを開けて先生が入ってきた。
あれ、なんか先生今日機嫌いい?
と、思っていると
「なんか先生いつにも増してキモイね」
と、美里がいつもの毒舌を吐き出す。
私は小さく頷きながら先生に「なんで今日せんせー機嫌いいのー?」と、問い掛けた。
すると先生はふふふと笑って「今日は2年の所に転校生が来たんだ」と嬉しそうに話す。
しかも、と先生は付け加えて
「その転校生は外国から日本に帰って来た子でな、凄い美形なんだよ。」
と笑って応えた。
美形って、、、、笑
2年か、、そういえば巴衛くんも2年生だったような?
もしかしたら、、、
と私は心の中が期待でいっぱいになった。

