「ううん。なんでもないの。」 心配してくれてありがとう。と微笑む。 そう、微笑んだ。作り物の笑顔で。 「それならいいんだけど、さ。」 頭をわしわしと掻いて照れを誤魔化す。 誰かさんにそっくりね。 その仕草。 「じゃあ、私宿題あるから。」 ひらひらと軽く手を振って澄ちゃんから目を逸らす。 「待って。」 しん、とした廊下に澄ちゃんの声が響く。 私はびくっ、と身体を震わせた。 また、もしかして? そんなことが頭を過ぎった。