「ただいまーっ」 ガチャリ、と重たい玄関のドアを開けてなかにはいる。 外との温度差についていけず、顔が赤くなる。 寒い時期にはよくあることよね。 ふ、と視線を下ろすと見慣れた運動靴と高級そうな革靴がきちんと並べて置いてあった。 ________________嗚呼、来てるんだ。 なんつー悪いタイミング。 なるべく会いたくなかったんだけど。 「はあ。」 私はこれで28回目の深い溜め息を吐きだした。