「そういうの、嬉しい?」 ヒロさんは、嬉しそうな顔をしながらあたしに聞いてきたけど。 「……どうなんですかね」 あたしには、分からなかった。 この気持ちが、嬉しさなのか、何なのか。 少しモンモンと考えてたら、カクテルを運び終えた松橋がこちらに向かって歩いてきた。 松橋と、目が合った。 「伊奈ちゃん」 穏やかな笑顔と、いつもとは違うトーンで名前を呼ばれる。 いつもは騒がしいのに、今日は穏やかで落ち着いている。