だから…このチャンスを、逃したらいけない気がして。 「……オムライスと、ミルクティーです。」 「え…?なにが…」 「あたしが、好きなもの。」 そう言ったら、ヒロさんは優しく笑った。 「覚えとくね。メニューにはミルクティーはないんだけど……伊奈ちゃんだけの、裏メニューね☆」 「あ…、はいっ!」 何故か、すごく嬉しかった。 このマスターとの出会いは、今まで知らなかった世界との出会いでもあった。 そんな、はじまりの夏だった。