…ひやりとした。
ドキッとしたっていうより、
焦りみたいな感じで。
嫌な予感がした。
もしかして—————
1つ、思い当たることがある。
でも、あわててその考えを
打ち消した。
「…誰?」
おそるおそる聞いた。
「………私から言い出したけど
自分から言うの恥ずかしいね」
桃香ちゃんは照れながら笑った。
————ほんとだよ。
自分から言い出したくせに。
私がどんな気持ちで聞いてるか———
なんて、少し、というかかなり
意地悪な気持ちになっていた。
「同じクラス?」
「そうだよ。
…ヒント言うね?」
「うん」
「——————野球部」
———桃香ちゃんは、
まわりに誰もいないというのに
私にこそっと耳打ちをした。
