「お前、遅れて来たんだから急げよ?
閉会式始まるぞ」



「うん」




そうだ急がなきゃ…


もう同級生も先輩も
ほとんどいない。


楽器と譜面を持って
演奏場所に急ぐ。





「…あ」



…。



唐沢くん………



唐沢くんは、競技が終わって
生徒席に戻る途中だったみたいだ。



多分山下は吹奏楽の演奏があるから
急いで戻って来たんだと思う。



…お礼言うなら、今だよね?



唐沢くんは、さっき私に言ったことが
恥ずかしくなったのか
顔を赤くして目を反らして
行ってしまった。



「…あっ…、待って!」